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先輩のクリニック経営者 (2)

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クリニック開業のステップ

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これで完璧!クリニック開業前にやっておくべき24のステップ

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クリニック開業は医師にとっては夢であり、現実のスタートでもあります。

そのスタートを堅実なコストではじめ、充実した医院経営とハッピーなリタイア後の生活を送るために準備していただきたい24項目をまとめました。

 

高額なコンサルティングフィーを払い、高い買い物をさせられませんように・・・

クリニック開業のステップ

クリニック開業のステップ

 

決心・家族の同意

 

開業にあたっては、まずご自身がしっかりと開業の意思を持ち、決意するところから始まります。

 

安心してください。この時点で覚悟が出来ている人はほとんどいません。覚悟というのはこれからいろいろと情報を集め、準備がうまくいかなくて悩み、やっぱりやめようかなと思って、それでもやろうと思えたときに徐々に固まっていくものです。

 

クリニック開業を決意したら、まず初めにやるべきことは「家族の同意を取り付けること」です。

 

理由は2つあります。1つ目は、開業には多額の事業資金借入が必要になります。つまり「借金」を背負うことになります。もしくはご両親に資金援助や連帯保証のお願いをすることもあるでしょう。家族であればこそ、お金のことは最初に相談しておかないと、後々大変やりにくくなります。

 

2つ目は、実際に開業してすぐには、身内にしか頼めない仕事が発生する可能性があるということです。経営において経理処理において、あるいは現場オペレーションにおいて、ご家族の協力が必要になることがあります。その時急にお願いすると、経営のスピードがすごく遅くなりますし、気持ちよく協力が得られません。

 

家族でよく話し合いスタートすることが、一番最初にすべきことです。

 

情報収集・相談

 

開業に興味を持ち始めたときから、情報は集め始めていると思います。既に開業した先輩や、インターネット上にある開業ノウハウなど、無料で手に入る情報はたくさんあります。

 

ここでいう情報収集とは、家族の同意を得ようとして説明しているうちに自分で気づいた点をもう一度しっかり調査するということです。また、家族が疑問に思ったことはもう一度しっかり調べ直しておくことも重要です。

 

気を付けなければいけないのは、クリニック開業というのは関連の業者さんにとってはビッグビジネスです。数千万円のお金が動きます。

 

そのため、機械や器材、内装を販売する業者さんは自社を選んでもらうためにとても親切にしてくれます。経験も豊富なので、すべてを任せてしまいたくなります。

 

相談したら、すぐに物件の情報や機械や器材の見積もりをもってきてくれます。とてもありがたいのですが、この段階ではまだ早いでしょう。

理由は、開業資金が必要以上に、高額になってしまうからです。

 

昔の開業はそれでも問題ありませんでした。開業してしまいさえすれば数年で謝金返済は終わり、数年で家が建ち、数年で子供の学費から老後の資金まで作れたものです。しかし現在は、開業してもうまくいくとは限りません。開業後、地域に認知されずに数か月で廃業してしまうケースもあります。そのため、開業資金はなるべく少なくて済むように計画しましょう。

 

ご自分でインターネットや先輩の話などを参考にして、おおよその開業資金の目安を付けてから、複数の業者に相談するようにしましょう。

 

開業コンセプトの確定

 

開業コンセプトとは(事業ドメインとも言いますが)、「誰に」「何を」「どのように」提供するのかを決めることです。

 

もちろん、すべての人にベストな治療を提供できれば言うことはありません。しかし、それは無理です。

 

開業コンセプトを決めるということは、「やらないことを決めて、すべきことを明確にすること」です。

 

3つの視点で考えます。

「だれに」※すべての人に提供することは不可能だという前提で

年齢層は?性別は?住んでいるエリアは?年収は?ファミリー?単身者?

 

「何を」※経営資源には限りがあるという前提で

診療科目は?専門性は?検査の精度はどこまで求める?オペは?

 

「どのように」※他者と同じでは見つけてもらえないという前提で

他院との違いは?優位性は?独自技術は?

 

この3つの視点から、開業コンセプトを文章化します。

 

例)○○市のXX地区に住む赤ちゃんから高校生までのお子さんを持つファミリーに、正しい食習慣と健全な心身の成長を、予防を中心とした正しい口腔内メンテナンスの実施と指導を通じて、提供する。

 

上記のようにコンセプトをはっきりさせると、他の医院との連携も考え、必要のない機械、器材も出てきます。何でもやろうとするととても高額な開業資金見積になってしまいます。

 

診療圏調査・開業物件の確定

 

開業コンセプトが固まったら、診療圏の調査をして物件を探していきます。

また、実際は物件が先に出てくることも多いと思います。その場合は、開業コンセプトと照らし合わせて吟味します。

(詳しくはこちら。診療圏分析で調べることの基本7つ

 

物件が確定したら、申込金にて物件を押さえます。家賃発生月を考慮して、開業日を決めて、間に合うように全てを動かしていきます。

 

開業資金の借入

 

自己資金を除いた開業資金の借入には事業計画書が必要になります。本来はご自身のための最悪の場合も想定したリアルな事業計画書と資金調達のための合理的かつ実現可能な事業計画書の2つが必要になります。

 

資金調達のための事業計画書の提出先は銀行などの金融機関になります。目的は融資を受けることになりますので、融資に不利になりそうなことで、書く必要のないことは省きます。資金計画は診療圏調査から得た合理的な患者数や平均的な診療単価の70%達成程度に見ておくと、同意が得られやすいです。

 

器材の選定や価格交渉は後からでよいのですが、金融機関融資実行のために決定前だという前提で見積書は発行してもらう必要があります。

 

金融機関との交渉と融資実行

 

金融機関との交渉は公的な機関から順番に行います。メガバンクはよほどの担保があるか、しっかりした連帯保証人がいない限り、交渉には応じてもらえないと思った方がよいでしょう。

 

金利の有利な順番から下記の順番で交渉しましょう。

  1. 日本政策金融公庫
  2. 地銀、第2地銀
  3. ノンバンク

 

融資の申込書に事業計画書を添えて申し込みます。その後、面談があります。

面談で聞かれる内容は、先生の経歴と開業のコンセプト、収支計画の内容についてです。ご自分で作った計画内容についてですので、心配はありません。

 

通常、融資の申し込みから2~3週間で融資実行となります。

 

設計・内装

 

戸建て開業でもテナント開業でも医院内装にはしっかりとした予算が必要になります。

 

問題となるのが品質と価格のバランスです。

クリニックを開業したら、30年はその場所でやる場合が多いです。ご自分の将来のビジョンを明確にした後で、打合せをする必要があります。

 

設計事務所の選定

 

設計事務所は単独で契約する場合と施工業者と一体で契約する場合があります。

 

設計と施工は全く別です。

建築士が設計したものを設計図通りに施工するのが工事業者です。設計通りに工事が行われていないと、施工管理代理人の建築士が指摘して、やり直させたりします。

 

中には工事会社が設計もやるケースがありますが、その場合は施工管理をご自分でやるか、第3者の建築士に外注するしかありません。1社に設計、施工、施工管理を任せるということは問題があっても、発見は困難になります。

 

当然、設計と施工を分けた場合は建築士のコストが上乗せされます。しかし、施工業者をコンペすることが出来、品質と価格のバランスは保たれます。

 

内装業者の選定はクリニックの内装の経験やノウハウがあることが前提ですが、将来的なリニューアルも視野に入れて、長くお付き合いできるところとやりましょう。

 

内装図面のコンセプト固め

 

内装の価格はリクエストに応じて、材料の価格を調整すれば対応できる場合が多いのです。設計前に相見積をとっても無意味です。

 

設計の段階で何年後にどこをリニューアルするのか、器材の増設は?入れ替えは?などを踏まえてデザインと材料の選定をします。高耐久の材料は価格も高くなります。造作物が増えれば価格は高くなります。

 

内装図面の確定

 

図面は平面図だけでなく、設備図面も含めて確定してからが、施工業者の見積もりになります。設計と施工が一体で契約していたとしても、相見積は取らせてもらい適正な価格にて発注しましょう。

 

適正な価格はこちらで知ることが出来ます。

工事発注アドバイザリーサービス

 

ロゴデザイン・看板デザイン・設置計画の確定

 

内装と並行して行わなければならないのが、看板です。

設計をお願いしている間にロゴデザイン、看板デザインを決めなければなりません。

 

内装の施工業者が看板業者を連れてくる場合は、品質と価格が問題ないか確認が必要です。別途、クリニック専門の看板業者を連れてくる場合は、内装業者との打合せしてもらい、配線の事や看板の場所や素材、設置の時期などをすり合わせてもらわなければなりません。

 

物件引き渡し

 

内装工事が完成すると、物件の引渡しを受けます。

テナント開業であれば、内装工事が終了した際に内装施工会社から鍵を返却してもらい、工事費の残金の支払いをすることとなります。

戸建て開業であれば、物件の引渡しを受け登記が必要となりますので、建設業者に必要書類を準備してもらうこととなります。

借入れをする場合は、所有権保存登記と同時に抵当権設定の登記も行い、金融機関に融資をしてもらってから建設業者に支払いをすることとなります。

物件の引渡しを受けると、そこから事故等が発生した場合は、責任は先生ご自身になります。最低限火災保険の契約を事前に準備しましょう。

 

医療機器の選定

 

大型の医療機器の選定は内装の設計前に決めることが必要ですが、価格交渉は後からでもできます。秘密保持契約を結ばずに安易に開業の相談をメーカーや商社にしてしまうと、勤務先の院長先生に知れてしまったりと、無用なトラブルを招きかねません。

購入決定はなるべく遅らせて、安易に約束しないことが重要です。

 

機材搬入据付

 

内装工事との兼ね合いで、日にちを決めます。開業日が迫ってきていると、タイミングが合わなくなる可能性があるので、購入を決めたらすぐに施工業者と打合せしてもらうようにします。

 

機材搬入時に特に注意するのはレントゲンを入れる場合です。レントゲンを入れるとなると、開設届提出の際にレントゲンの線量チェックが必要となります。

 

開設届には、放射線漏れがないことを確認した書類を添付しなければなりません。

レントゲンは搬入するだけでなく配線工事も必要となりますから、日数に余裕を持っておく必要があります。また、放射線漏れを測定するフィルムバッチ等の測定器も、保健所立会い検査時に必要となります。

 

クリニックの看板もこのころには取り付けられてしまうと思いますが、開設届が出るまではクリニックの表示ができないので、上手にカバーをしておく必要があります。消火器の設置も忘れないようにしましょう。

 

保健所や厚生局の立ち入りがある場合には確認されることがあります。

 

申請届け出業務

 

内装図面が確定した段階から管轄の消防署や保健所へ図面を持ち寄り、この内容で進めて良いか事前相談を行います。この作業は開業パートナーの商社や設計事務所が代行してくれます。

 

この事前相談を行わずに工事を進めると、極端な例では、開業前の保健所の立ち入り検査にて、修正工事の指導を受けてしまう場合もあります。

 

院長はクリニック施設の管理者として防火管理責任者の資格が必要です

また、クリニックを経営していくには、その施設の管理者として防火管理責任者という資格が必須になります。この資格を取得するには、消防署が指定する講習会(2日間)に参加し、最終日の確認テストに合格することが必要です。確認テストも2日間の講習内容を踏まえたテストになります。

 

医師会への挨拶もこの時点でしておくとよいでしょう。

 

保健所届け出 社会保険医療機関指定

 

個人で開業する場合、クリニック開業予定地の管轄する保健所に、診療所開設届を提出する必要があります。

 

開設届は開設後10日以内に提出しなければなりません。とはいっても、保健所には相当早くから(不動産契約申込書提出時を目安に)相談に行かれることをお勧めします。

 

笑えない例として、看板もパンフレットも作り、いよいよ開業と思い保健所に相談に行ったら「そのクリニック名は使えません。」などということが起こる可能性もあります。

 

また開設届と合わせて、一般的に必要な提出書類は下記の通りです。

  • 開設管理者の医師免許証の原本と写し
  • 開設管理者の履歴書
  • 診療所の敷地の平面図
  • 付近の案内図
  • 建物の構造概要及び平面図
  • 従事医師及び看護師等の免許証及び履歴書
  • 建物を賃貸している場合は賃貸契約書
  • その他(エックス線装置を設置する場合はこの他にも届出が必要)

 

また、保健所の検査が入ることがあります。

注意点としては、保健所に開設届が受理されなければ、保険医療機関の指定申請を行うことはできないので、この提出日は地域による違いを調べて適正な日に提出する必要があります。

届出をミスってしまうと、開院日を遅らせざるを得なくなり、パンフレットは全部印刷しなおし、従業員の給与は1ヶ月余分に支払い、無用の赤字を抱えたスタートということになってしまう恐れがあります。

 

保険診療を開始するには、保険医療機関として指定を受けなければなりません。

保健所開設届まで終わらないと、この手続きには入れません。

保険医療機関指定申請は、開業した場所を管轄する厚生局に保険医療機関の指定申請を行います。

 

保険医療機関の指定開始日は地域によりまったく異なるので、管轄の厚生局に事前に問い合わせて確認することが必要です。

保険診療を開始しようと思う日から逆算して書類提出の期限がいつになるのか、必ず事前に厚生局に確認してください。受付は1ヶ月毎です。間に合わなければ1ヶ月先の保険診療開始になります。

 

もし指定が間に合わないと、患者さんが受診に来られても自由診療扱いになり、全額患者さんの自己負担になってしまいます。

 

このあたりの手続きは、メインとなる医薬品卸や材料商社がサービスでサポートしてくれる場合もあります。

 

保険医療機関指定申請書に必要な書類は下記の通りです(提出する前に、管轄の厚生局の事務局に確認が必要です)。

  • 開設届(保健所長の証明したもの)
  • 案内図、平面図
  • 医師免許証の原本と写し
  • 履歴書
  • その他

保険医療機関指定申請書が無事受理されると、後日、医療機関コード番号が入った保険医療機関指定通知書が郵送されます。

レセコンまたは電子カルテに、このコード番号の登録作業が必要です。

 

スタッフ採用

 

事業計画策定時に必要なスタッフの人数と構成を決めているはずですので、ここでは詳細な募集内容を詰めて、採用活動をします。

 

勤務時間、賃金、福利厚生などは近隣のクリニックの相場を詳細に調べて、少しだけ上をいくように設定しましょう。オープニングスタッフというのは魅力がありますので、条件面が少しだけよければ、良いスタッフ候補が面接に来てくれる可能性があります。

 

スタッフ採用面接

 

面接でやることは、以下です。

  • 応募書類整理
  • 面接セッティング
  • スタッフ採用決定通知(不採用通知)

募集は地域の広告代理店を通じて、地域の住民がよく見る媒体を選びましょう。

合わせて、Webの専門媒体も併用して、念のためハローワークにも募集を出しておきましょう。

 

スタッフ研修

 

スタッフを採用したら当然ですが、開業前でも出勤してもらえば賃金が発生します。そのため、事前の研修も無駄なく行う必要があります。

 

必須なのはレセコン・電子カルテの研修です。

 

ホームページ・印刷物作成

 

ホームページを戦略的に使おうと思えば、開業日に合わせる必要はありません。

しかし、医院カードなどの印刷物は開業日までに間に合わせる必要があります。

 

ホームページでは院内やスタッフなどの写真が多くの印象を作り出します。

内装やスタッフが安定しないうちから撮影をすると、ひどく現実離れしたものになりがちです。

 

3つのフェーズに分けて考えましょう。

  1. 内覧会向けの告知
  2. 開院のお知らせと必要最低限の医院概要
  3. コンセプトに落とし込んだ詳細な内容

 

1から2は端的に、3は時間をかけてじっくり取り組むのがおすすめです。

 

印刷物に関しては下記がオープンまでに必要となります。

  • 内覧会チラシ
  • 医院カード(予約カード)
  • 名刺

 

近隣ご挨拶

 

内装工事に入る前か入ったあたりから、近隣の店舗にご挨拶に行きます。工事で音が出ることなどをお知らせして、ご挨拶をします。その際にクリニックにも必ず顔を出して、ご挨拶するようにしましょう。

特に飲食店などは順番に利用して、開業後にパンフレット等を置かせてもらえそうか探りを入れておきます。

 

内覧会準備

 

内覧会は派手にPRできる唯一の機会と言ってもいいかもしれません。内覧会の成否は開業後の収益に直結します。外注を使う場合でもそうでない場合でも念入りに打合せしましょう。

 

また、外注を使う場合はなるべく早めに日程を仮予約しておくことをおすすめします。春先などの開業の多い時期ですと、受けてくれなかったら、品質が落ちたりすることがあります。

 

内覧会当日

 

院長はとにかく多くの来院者や業者さんに挨拶して、一人と長く話し込まないことです。スタッフからの質問にいつでも対応できるようにしておきましょう。

 

来院者の対応はすべてスタッフが行うのが理想的です。予約をいただけた場合は必ず院長に紹介して、ご挨拶できるようにしましょう。

 

開業日当日

 

当日は目いっぱいの予約は入れないようにして、70%稼働くらいにしましょう。

特にIT系のトラブルは起こるものとして、出来ればレセコン担当者に当日は来てもらえるように交渉しましょう。

 

まとめ

 

クリニックの開業は開業医にとって人生で最も大きなイベントと言ってもいいかもしれません。入念な準備をして臨むためには、物件が出てくる前からできることに着手して、物件に振り回されないようにすることが大切です。

急遽決まった場合でも、手順通りに確実にかつできるだけ開業資金を少なくするのが大切です。

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